わたしが5年ほど主催している写真プライベートセッションで

《テーマや被写体はどうやって見つけ出すのか?》

ということについてお話させていただく機会がありましたので

こちらでもシェアしたいと思います。

 

端的に言えば「自分は何を表現したいのか?」

に通じるものかもしれません。

 

この質問においては

そもそも特定のテーマを持つ必要性があるのかどうか?

と考えることができます。

 

その疑問を胸に抱きながら、

どうしてもこだわりたいという意識があるからこそ

テーマや被写体を追求することがエネルギーに還元できるのが

自己表現の魅力だと考えています。

 

今回は「テーマとリサーチ」について述べます。

 

これからの時代すべての人が表現者です。

ヴィジュアル表現、文章、映像、音楽、ダンス

セラピー施述、セミナー、講師業、音声や情報コンテンツなど

独自のポテンシャルを活かして

進化成長をのぞむ表現者のみなさまへ参考になれば嬉しいです。

 

※ここでは、作品集を創る過程をイメージしてみてください。

表現方法は違っていても

きっとあなたの活動に繋がっているヒントがあるはずです。

 

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どのようにテーマを掘り下げて行くのか

どのようにリサーチを行うのか?

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作品を創るに当たって、

膨大な量の日々のスナップをまとめてゆくとき

ある共通したテーマや被写体をもとに編集作業を行うと仮定しましょう。

 

たとえば、人工的な都市の景観をテーマにしたり、

花を被写体として選び取ったりというようなことです。

 

テーマを深めるために考えることは色々とあると思いますが

大切なのは

「自分が何をそこで表そうとするのか」

・・・ ということです。

 

この課題を掘り下げる前に大きな注意点があります。

 

というのは

誰でも設定したテーマを自身の力で探求できるけれど、

考え過ぎて行き詰まってしまう方も多いからです。

 

実のところ、わたし自身も

あるテーマについてひとりで考えるには限界がある

と自覚しています。

 

そのようなときには誰かと積極的に話すようなことが

ひとつの解決策になることがあり

その経験から「ライフキャリア講座」が生まれました。

 

具体的にはアーティストの作品を見せていただきながら

ざっくばらんに話すこともありますし、

単に「編集」だけということも意味があります。

 

たとえばそれは

テーマと関連したことに造詣が深い人だけと話すこそが意味がある

と作家が決め込んでいるとしたら

非常に世界の狭いフォーカスになっていることに

ご自身が気づくチャンスになります。

 

 

どんな場合でも、他者と話していると

自分の知らなかったことや思いもしなかったことが

世の中にはたくさんあることを知り、

さまざまな感覚、体感、視覚の好みなどが複雑に組み合わさって

大きく作用することも理解が深まります。

 

その気づきを手がかりに、また自分なり勉強していき

別の人へ繋がって、その誰かと話す、というサイクルは

わたしの制作時間においてもっとも時間を費やす時間でもあるのです。

 

話す、という行為を意識的にすることで

無意識化の自分に出逢うと言ってもよいでしょう。

 

 

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ほかの写真家がなにをしたか?

調べることでみえてくることがある

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作品を進めて行くとき、ある程度テーマや被写体が決まった段階で

必ず行うことにリサーチがあります。

たとえば「パリ」を捉えた作品にはどのようなものがあるでしょうか。

 

写真でいうとまず頭に思い浮かぶのは、

クラシックなところではアジェ、ポール・ストランドかもしれません。

日本でいうと木村伊兵衛、ほかにも数多くの写真家が

パリというテーマで切り取ってきましたし

インターネットで検索したり、図書館や本屋を巡れば

そのアプローチがどのようなものだったのかを調べることができます。

 

写真の題材として大変魅力があり、それだけに自らの作品として世界に提示するには

相応の研究が必要となることも想定できます。

調べるたびに、あれもこれももう既に撮られている・・・

そんな発見とも言えない心境になることも少なくありません。

 

 

 

では、花の場合はどうでしょうか。

ボタニカルアートのような方法を用いたものもあれば

スナップの要素があるもの、あるいは枯れゆくさまを艶やかな色彩と構図で捉えた作品

「重厚な階調で再現されたモノクローム」などこのテーマもさまざまります。

 

写真家で言えばロバート・メイプルソープ、アーヴィング・ペン

荒木経惟などの作品が頭に浮かぶ人が多いかもしれません。

 

個人的には、井津健郎さんによるプラチナプリントで仕上げられた

「花の静物写真」を見たときの体験を思い起こします。

 

非常に豊かな階調で仕上げられたそのプリントは

その後のプリントに対するクオリティの判断に大変影響していると自負しています。

 

花もチーフとしては多くの写真家に選択されたものであるといえるでしょう。

 

また、女性なら特に写真を始めた頃、

練習がてら花を撮影したという方もいるのではないでしょうか。

 

個人作品の評論などを務めさせて頂くと、

花の写真は割合としてかなり多く見ることができます。

 

街スナップ同様、作品として仕上げるには

かなりのクオリティと独自性を要求されるものであると感じるのは否めません。

 

このようなリサーチは、すでに発表されていることと同じことをしない

という目的もありますが

それ以上にどうすれば新たな視点でテーマを掘り下げることができるのかを

考えるためにあると考えて頂けたら

本当に辿り着きたいディティールが見えてくることがあります。

 

そうやって調べていると実は、

まだ写真になったことがない被写体をいうのは、

ほとんど無いのかもしれないということ明確になるのですが。

 

冒頭でお伝えした

どうしてもこだわりたいという意識があるからこそ

リサーチも深くなり、唯一無二の作風につながるのだとわたしは思います。

 

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結果を追い求めない姿勢

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こだわり、というのは

執拗、とか執着とも捉えられるかもしれません。

けれど、短略的な「結果」だけを求めることは

自己表現の世界では通用しないことがご理解いただけると思います。

 

何に対しても「すぐに結果が欲しい!」

という人の人生が逆にうまくいかないのは

前途したリサーチ不足や、新しい視点、

他者の意見を受け入れるなど、多々理由があるものです。

 

では、この「テーマを掘り下げるにはどうしたら?

という疑問を乗り越えていくヒントとはなにか。

それは“行動に対するプロセスにフォーカスする”ことだと考えます。

 

自分の表現したいこと、追求したいテーマは「欲しい結果」だとしたら

それにに対するあなたの日々のエネルギーの向け方、

粛々と、淡々とした行動そのものへ
意識を向けることがポイントとなります。

さまざまな感覚、体感、視覚の好みなどは

複雑で、デリケートで、瞬間、瞬間のかけがえのない時間の束である、と。

 

同時に、この「「自分は何を表現したいのか?」という

どうしようも無い気持ちや「結果を出したい」ということ自体

あなたにとって、いったいが何を指しているのを感じる必要があります。

 

“自分の表現に対して行うプロセスにフォーカスし

その喜びの行為を大切にする“

 

そのような自分で在れた自分にどれだけ出逢えるのか?

重要なのはこの感覚ではないでしょうか。

 

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プライベートセッション」の役目は

表現の知識や言語化のスキル、ソフト面のアプローチ

ライフキャリアの落とし込み方

それら制作過程で生まれる解決法などを一緒に考え

自在にブランディングしてゆくことです。

 

純粋にあなたの「カタチにしたいこと」「伝えたいこと」

「美しいと感じる世界」を大切にしてゆきましょう。

 

対象は、アーティストおよび将来フリーランスを目指す方です。

また、今後、ライフワークとして自己表現をし

社会と関わっていきたいと考える人にも参考になります。

 

みなさまの才能を掘り起こし、

磨きをかけるお手伝いをさせていただけましたら本望です。

 

次回は8月の開催を予定しています。

 

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